木下ゼミナールで卒業論文報告会が開催されました
2023年1月20日、法律行政学科の木下恵二准教授のゼミナールで卒業論文報告会が実施されました。木下ゼミの4年生8名は、日本の在留外国人を共通テーマに、それぞれが関心を持つ個別のテーマに基づき、1年かけて卒業論文に取り組んできました。報告会ではゼミの2、3年生の前で完成させた卒業論文の内容を、それぞれ10分間で発表しました。
各報告者のテーマは以下の通り。
1.久保田楓史
「日本におけるネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチはどうすれば減らせるのか」
2.深谷花奈
「多文化化する日本の学校で必要とされる教育―『違いを受け止める力』をいかに育むか」
3.坂本翔星
「日本における災害時在留外国人への対応―情報伝達を中心に」
4.佐久間太一
「震災時の外国人移住者への対応―阪神淡路?東日本大震災の経験から考える」
休憩 10分
5.伊勢山魁
「地域日本語教育における行政とボランティアの協働のあり方について」
6.海老澤悠
「地域特性と多文化共生施策の連動―事例から導く茨城県内市町村で活用できる多文化共生施策の検討?」
7.長澤朋希
「外国人技能実習制度をめぐる課題と解決策」
8.黒川航太
「在留フィリピン人を取り巻く制度の変遷と今後の課題」
各報告者のテーマは以下の通り。
1.久保田楓史
「日本におけるネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチはどうすれば減らせるのか」
2.深谷花奈
「多文化化する日本の学校で必要とされる教育―『違いを受け止める力』をいかに育むか」
3.坂本翔星
「日本における災害時在留外国人への対応―情報伝達を中心に」
4.佐久間太一
「震災時の外国人移住者への対応―阪神淡路?東日本大震災の経験から考える」
休憩 10分
5.伊勢山魁
「地域日本語教育における行政とボランティアの協働のあり方について」
6.海老澤悠
「地域特性と多文化共生施策の連動―事例から導く茨城県内市町村で活用できる多文化共生施策の検討?」
7.長澤朋希
「外国人技能実習制度をめぐる課題と解決策」
8.黒川航太
「在留フィリピン人を取り巻く制度の変遷と今後の課題」
久保田楓史さんは、日本における国や地方公共団体の対策を広く調査した上で、裁判を経ずに問題を解決することが難しい現状を踏まえ、ドイツやフランスの最新の取り組み状況と経験を参考に、現在の日本でとられるべき対策(簡単にいうと「罰則の無いドイツのSNS法」の制定)を提言しました。
深谷花奈さんは、外国にルーツをもつ子どもへのいじめの背景に「違いを受け止める力」の弱さがあると考え、それをどのように育むのかをカナダでの教育実践をもとに検討しました。多文化化が進む日本の学校において、いまだ「日本文化対異文化」という枠組みが存在していることを確認した上で、カナダの実践から「深い多様性の尊重」、「結束への積極的な意思」、「多様性の調整」を軸に、日本においてなされるべき教育内容を提言しました。
坂本翔星さんは災害時の情報伝達における「やさしい日本語」と「プレイン?イングリッシュ」の有用性に注目しました。調査を進める中で、阪神淡路大震災の経験を機に提唱されてきた「やさしい日本語」が、現在においても災害時に十分用いられる準備がなされていないことを確認し、スマホなどのツールや外国人の身近な人を通じて、「やさしい日本語」と「プレイン?イングリッシュ」によって情報を伝える体制構築の必要を論じました。
佐久間太一さんは阪神淡路?東日本大震災の際の対応から、避難所などの現場へ出て行く支援の重要性を見出しました。それには平時からの外国人移住者との関係づくりが不可欠であり、その観点から茨城県内の取り組みを検討し、県全体での行政の連携した体制づくりがいまだ不十分であることを指摘しました。
伊勢山魁さんは、ボランティア頼みの地域日本語教育の現状では、質的にも量的にも解決できない課題が多いことを確認した上で、岡山県総社市の行政が運営主体となる日本語教室の事例、また県全体が協力体制のもと地域日本語教育を展開している愛知県の事例をもとに、行政が主体的に関わることの必要性を論じました。茨城県の現状を検討した結果、基礎自治体の日本語教育に対する意識も能力も弱いこと、それを補い方向づける県の働きかけが必要であることが見えてきました。
深谷花奈さんは、外国にルーツをもつ子どもへのいじめの背景に「違いを受け止める力」の弱さがあると考え、それをどのように育むのかをカナダでの教育実践をもとに検討しました。多文化化が進む日本の学校において、いまだ「日本文化対異文化」という枠組みが存在していることを確認した上で、カナダの実践から「深い多様性の尊重」、「結束への積極的な意思」、「多様性の調整」を軸に、日本においてなされるべき教育内容を提言しました。
坂本翔星さんは災害時の情報伝達における「やさしい日本語」と「プレイン?イングリッシュ」の有用性に注目しました。調査を進める中で、阪神淡路大震災の経験を機に提唱されてきた「やさしい日本語」が、現在においても災害時に十分用いられる準備がなされていないことを確認し、スマホなどのツールや外国人の身近な人を通じて、「やさしい日本語」と「プレイン?イングリッシュ」によって情報を伝える体制構築の必要を論じました。
佐久間太一さんは阪神淡路?東日本大震災の際の対応から、避難所などの現場へ出て行く支援の重要性を見出しました。それには平時からの外国人移住者との関係づくりが不可欠であり、その観点から茨城県内の取り組みを検討し、県全体での行政の連携した体制づくりがいまだ不十分であることを指摘しました。
伊勢山魁さんは、ボランティア頼みの地域日本語教育の現状では、質的にも量的にも解決できない課題が多いことを確認した上で、岡山県総社市の行政が運営主体となる日本語教室の事例、また県全体が協力体制のもと地域日本語教育を展開している愛知県の事例をもとに、行政が主体的に関わることの必要性を論じました。茨城県の現状を検討した結果、基礎自治体の日本語教育に対する意識も能力も弱いこと、それを補い方向づける県の働きかけが必要であることが見えてきました。
海老澤悠さんは、地域の特性を多文化共生施策と連動させることによって、多文化共生が進むとともに地域の発展につながると考え、市民参画、産業振興、国際交流の3つの特性をうまく多文化共生と結びつけている事例を広くサーベイしました。そして、それぞれの地域が連動に成功しているキーポイントを抽出し、それをもとに茨城県の神栖市、常総市、牛久市がその地域の特性と多文化共生を連動させる方法について提言しました。
長澤朋希さんは、外国人技能実習生の人権侵害や失踪をいかに防ぐかから出発し、制度に対する代表的な批判を確認した一方で、技能実習制度が日本の経済にとって必要不可欠な役割を果たしていることにも目を向けました。その上で、とるべき改革の方向として、第一次産業や介護に制度の対象を限定して行政が積極的に関与して監視とケアを行うこと、それ以外の業種では労働者として日本人と近い自由労働市場での労働者受け入れ制度(現在の特定技能を基礎にしたもの)を実施することを提言しました。
黒川航太さんは、日本に比較的古くからそして多数いる在留フィリピン人に注目し、彼らの日本への移民がどのように広義の「制度」と関わっているかを検討しました。その結果、日本が正面から外国人労働者を受け入れずに、それぞれの時期の外国人労働者への需要と国内外からの批判にその場しのぎの対応をしてきたことが、現在のフィリピン人の状況を生み出していることを指摘するとともに、フィリピンが長年の国策としての海外への労働者送り出しの過程で、労働者の保護の仕組みを発展させてきたこと、そのためにフィリピン人技能実習生の失踪の割合が際立って低いことも見出しました。その結果、そのような制度の整っているフィリピンからの労働者を正面から受け入れる制度の構築が望ましいと提言しました。
それぞれのテーマと向き合って卒業論文を完成させた4年生の皆さんの頑張りに拍手を送ります。また報告会に参加した2、3年生にとってはこれからの学びのための良い刺激を受ける機会となりました。
長澤朋希さんは、外国人技能実習生の人権侵害や失踪をいかに防ぐかから出発し、制度に対する代表的な批判を確認した一方で、技能実習制度が日本の経済にとって必要不可欠な役割を果たしていることにも目を向けました。その上で、とるべき改革の方向として、第一次産業や介護に制度の対象を限定して行政が積極的に関与して監視とケアを行うこと、それ以外の業種では労働者として日本人と近い自由労働市場での労働者受け入れ制度(現在の特定技能を基礎にしたもの)を実施することを提言しました。
黒川航太さんは、日本に比較的古くからそして多数いる在留フィリピン人に注目し、彼らの日本への移民がどのように広義の「制度」と関わっているかを検討しました。その結果、日本が正面から外国人労働者を受け入れずに、それぞれの時期の外国人労働者への需要と国内外からの批判にその場しのぎの対応をしてきたことが、現在のフィリピン人の状況を生み出していることを指摘するとともに、フィリピンが長年の国策としての海外への労働者送り出しの過程で、労働者の保護の仕組みを発展させてきたこと、そのためにフィリピン人技能実習生の失踪の割合が際立って低いことも見出しました。その結果、そのような制度の整っているフィリピンからの労働者を正面から受け入れる制度の構築が望ましいと提言しました。
それぞれのテーマと向き合って卒業論文を完成させた4年生の皆さんの頑張りに拍手を送ります。また報告会に参加した2、3年生にとってはこれからの学びのための良い刺激を受ける機会となりました。