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法律行政学科ニュース

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法律行政学科橋爪ゼミナールが会津若松でゼミナール合宿を実施しました


こんにちは。法律行政学科教員(法学?憲法担当)の橋爪です。私のゼミナールでは2月中旬に福島県会津若松の東山温泉にて2泊3日のゼミナール合宿を実施しました。まだ2年目のゼミナールなので今回が初めての実施となります。

ゼミナール合宿や研修旅行のような企画をどのように実施するかはゼミナールによって異なります。すでに山梨先生や吉田先生、森本先生のゼミ企画もニュースになっていますが、私のゼミナールでは「ディベート合宿」を実施しています(ディベートについては過去の学科ニュース「法律行政学科教員に聞く?橋爪英輔助教?後編?」をご参照ください)。

この合宿は普段別々にゼミをしている3年生と2年生の合同で実施します。1日目はまだディベートを経験したことがない2年生に対してディベートのルール説明を兼ねた模擬ディベートを行います。その後、私が2年生に対して問題発表を行い、2日目の午前中までチームで検討を行います。そして2日目の午後に実際にディベートを行い、3年生が進行役(裁判長)と審判(裁判員)をつとめます。

模擬ディベート中の様子

模擬ディベートでは「校則と自由(交際禁止?政治活動の禁止と生徒への懲戒)」をテーマにした問題で、単純化すると以下のような事例です(実際にはロースクールの試験レベルにしています)。

ある(架空の)学校の校則で学内交際を禁止していましたが、タレント活動をしていた生徒同士で交際が発覚し、校長から処分を受けてしまい最終的に退学処分となってしまいました。その生徒の友達が処分に抗議するための運動をはじめたところ、無届の校内政治活動を禁止する校則に違反してこちらも懲戒を受けることになってしまいました。これらの処分は憲法上問題があるでしょうか。

実はこの問題は1年前に一度やった問題です。その後実際に似たような裁判がありましたね。最近ではブラック校則も話題になることが多いですが、学校は人権事例の宝庫です。みなさんもおかしいと思った校則はありませんか?ぜひ、私のゼミナールで議論してみましょう!

2年生のディベートです。
今回は3名のジャッジ(奥)により厳密採点を行いました。

模擬ディベートが終わると、2年生への問題発表をして解散です。夕食をとりつつチームに分かれて立論を組み立ててもらいます。2年生への問題は次のようなものです。
ある禁止薬物の自由化を求める市民団体の代表Xは学識者を交えたシンポジウムをY県県民会館で開催するため使用申請をしたところ、Y県はXが反社会的勢力との関係をもっているという事実を認識し、条例で定める使用拒否事由である「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあると認めるとき」に該当するとして不許可としました。Y県の処分は憲法に反するでしょうか。

こちらは憲法21条の「集会の自由」についての有名な憲法判例を少し変えた事例です。憲法の立論をどのようにするかは、ゼミナールや憲法Ⅱという授業でも教えますが、ざっくりと知りたい方は、フジテレビ系列ドラマ『女神の教室』第6話の藍井先生の話を参照してください(笑)。

ちなみにこの問題は(私のゼミでは法曹志望もいますが)行政系公務員のような法曹ではない進路を目指す人も重要な問題です。市民の自由と公共の安全のバランスをとることは行政の役割です。法学の思考の一つに比較衡量や利益衡量というものがあり、ざっくりといえば、ある措置をしたときに得られる利益と失われる利益を天秤にかけてバランスをとらなければならないという考えです。ディベートはまさにこういった天秤の測り方が妥当かどうかの攻防も行います。立法論や政策論でも重要な考え方です。

2日目の午前では、3年生と論文講読会を行い、4年生で執筆する卒論の長さと同じくらいの論文を素材にして、論文の校正や文章の表現方法をみつつ、憲法、民法、刑法、行政法、刑事訴訟法といった様々な法学の復習を行いました。その後、3年生には2年生へのディベートのアドバイスをしてもらいました。

午後はいよいよ2年生のディベートです。どちらも初めてにしては立論がうまくできていたと思います。ただ、反対尋問は1人5分という時間をうまく活用できずに終わった人が多かったです。ディベートで重要なのは「質問力」ですが、これは3年生の春セメスターでじっくりと身に着けていきます。

ディベート問題の解説

初めてディベートをやるときにありがちなのは最初の1つの質問で相手の主張を崩そうとしてしまうことです。1人5分間持ち時間があるので複数の質問が可能です。場合によっては、相手の主張を確認する、つまり、相手に「はい」と言わせる質問や相手の主張を明確化するような質問をいくつかした上で、矛盾点や問題点を突くような質問をするという誘導尋問の手法をつかうことも重要です。大事なのは相手の主張を十分に理解した上で適切な質問ができるかであり、質問力は社会人でも会議などで必要な力です。

宴会の様子

こうして無事にディベート大会はおわり、夜はお酒のない宴会をしました。感染予防には十分すぎるほどのディスタンスです。ホテルには外国人観光客も多く滞在しており、ポストコロナへの移行を感じさせる様子でした。その意味でも勉強になりました。

なお、3日目は鶴ヶ城等の施設を見学し、歴史の勉強をしました。