【授業紹介】木下ゼミナールの2023年度卒業論文を紹介します
法律行政学科では2年生の秋セメスター(学期)からゼミナールが始まります。ゼミナールとは1人の先生のもとで少人数の学生が学ぶ形態の授業で、4年生の終わりまで続き、最終的に各学生が自分の選択したテーマで卒業論文を完成させます。完成後、各ゼミ単位で卒業論文報告会を行います。写真は2024年1月19日に実施された木下ゼミの報告会の様子です。今回はその卒論の内容を簡単にご紹介します。
木下ゼミナールの2023年度4年生6名は、「在留外国人、移民」を共通テーマに学修を進め、それぞれが関心を持つ個別テーマに基づき、1年かけて卒業論文に取り組みました。
各卒論のタイトルは以下の通り。
木下ゼミナールの2023年度4年生6名は、「在留外国人、移民」を共通テーマに学修を進め、それぞれが関心を持つ個別テーマに基づき、1年かけて卒業論文に取り組みました。
各卒論のタイトルは以下の通り。
- 土井立樹
「日本の介護業界における外国人人材の確保と定着について」 - 大山大翔
「日本農業の発展と外国人労働者の活用」 - 海老沢大樹
「外国人技能実習生の失踪をいかにして減らすか?送り出し国に重点を置いて」 - 和田風人
「外国にルーツを持つ子どもの教育を受ける権利について」 - 名畑仁
「日本の学校における外国にルーツを持つ子どもへのいじめ問題?学校教育の柔軟化と日本への適応支援を中心に?」 - 森山雄太
「欧州サッカーと人種差別」
土井立樹さんは、介護人材の受け入れ制度を詳細に検討しました。その上で、受け入れた外国人材に介護福祉士資格を取得させ、在留資格「介護」へ至らせることが人材定着の理想的ゴールであると考え、「神戸モデル」や「青森なんぶモデル」を参考に、事業所と自治体、教育機関が連携して受け入れ、支援するモデルの普及を提言しました。
大山大翔さんは、実家の農家も含む現状調査から、外国人労働者がより中心的な作業を担えるようになることが課題であり、日本語能力向上のための措置と、より長期に渡って農業分野で働き続けるための仕組みづくりが必要であると論じました。特定技能制度をうまく利用して、モデルとなり、指導役となれる外国人労働者を育成し、それによって他の外国人労働者のモチベーションを高めたり、作業のさらなる効率化を図る方法を提言しました。
海老沢大樹さんは、技能実習生の出身国別の失踪割合に大きな差があることに注目し、送り出し国の制度の違いに着目して失踪を減らす方法を考えました。失踪割合の高い国と低い国の制度を比較した上で、送り出し機関の管理と労働者保護が一定の水準にある国からのみ技能実習生を受け入れることを提言しました。一時的には外国人労働者の受け入れ数が減少するリスクがあるとしても、外国人労働者の人権保護を中心に据えることによって、送り出し国と日本双方のあり方の変化を促し、日本が外国人にとって働きたいと思える国になることが期待できると論じました。
和田風人さんは、外国にルーツを持つ子どもに最大限「教育を受ける権利」を保障するためには、義務教育段階で「外国籍者の義務教育適用」、「高校進学の優遇制度拡大」、「日本語教育?指導の充実」と、高校段階で日本語教育に加え、「アイデンティティ教育の実施」を実現することが必要だと考え、その実現のための方策を検討しました。実際にそのような児童を多く抱える小学校へのインタビューも実施した提言は多岐にわたりますが、目指す理想として、将来的な外国人学校と一条校の区別の廃止や、高校入試の「特別入学枠」制度の全国統一の実施、日本語指導能力を持った正規教員の育成、ロールモデルを提示し学習動機を持たせるキャリア教育の実施、外国人学校も活用した母語?母文化教育のための経済的支援などが挙げられました。
名畑仁さんは、外国にルーツを持つ子どもに対するいじめを可能な限り減らしていくためには、日本の「みんな一緒」という文化を作り出している学校の仕組みの変化と、日本への適応支援との両面からの取り組みが必要だと考え、その方法を検討しました。変えるべき学校の仕組みとして、「みんなで同じことを同じペースで学ぶ」を前提にした制度と「校則」を挙げ、より柔軟で少数者の声を反映した仕組みへの変化を提言しました。適応支援では、すでに学校、NPO、地域の国際交流協会などでいくつかの効果的な取り組みが実施されていることを紹介し、それを行政がしっかりと把握し拡大していく道筋を作っていくことが重要であると指摘しました。
森山雄太さんは、自身もプレーするサッカー選手としての立場から、欧州サッカーにおける人種差別的行為が試合の公正さを損ない、プレーのレベルを低下させ、その結果サッカーの面白さを失わせてしまうことを憂い、差別の現状と対策について検討しました。調査の結果、近年は選手同士よりもサポーターによる人種差別的行為が多いことがわかり、それへの対策として、リーグやクラブによる啓蒙活動、「three-step procedure」による没収試合の徹底、ドイツの刑法にあるような人種差別的行為に対する刑事罰の設置と悪質サポーターへの適用を提言しました。
大山大翔さんは、実家の農家も含む現状調査から、外国人労働者がより中心的な作業を担えるようになることが課題であり、日本語能力向上のための措置と、より長期に渡って農業分野で働き続けるための仕組みづくりが必要であると論じました。特定技能制度をうまく利用して、モデルとなり、指導役となれる外国人労働者を育成し、それによって他の外国人労働者のモチベーションを高めたり、作業のさらなる効率化を図る方法を提言しました。
海老沢大樹さんは、技能実習生の出身国別の失踪割合に大きな差があることに注目し、送り出し国の制度の違いに着目して失踪を減らす方法を考えました。失踪割合の高い国と低い国の制度を比較した上で、送り出し機関の管理と労働者保護が一定の水準にある国からのみ技能実習生を受け入れることを提言しました。一時的には外国人労働者の受け入れ数が減少するリスクがあるとしても、外国人労働者の人権保護を中心に据えることによって、送り出し国と日本双方のあり方の変化を促し、日本が外国人にとって働きたいと思える国になることが期待できると論じました。
和田風人さんは、外国にルーツを持つ子どもに最大限「教育を受ける権利」を保障するためには、義務教育段階で「外国籍者の義務教育適用」、「高校進学の優遇制度拡大」、「日本語教育?指導の充実」と、高校段階で日本語教育に加え、「アイデンティティ教育の実施」を実現することが必要だと考え、その実現のための方策を検討しました。実際にそのような児童を多く抱える小学校へのインタビューも実施した提言は多岐にわたりますが、目指す理想として、将来的な外国人学校と一条校の区別の廃止や、高校入試の「特別入学枠」制度の全国統一の実施、日本語指導能力を持った正規教員の育成、ロールモデルを提示し学習動機を持たせるキャリア教育の実施、外国人学校も活用した母語?母文化教育のための経済的支援などが挙げられました。
名畑仁さんは、外国にルーツを持つ子どもに対するいじめを可能な限り減らしていくためには、日本の「みんな一緒」という文化を作り出している学校の仕組みの変化と、日本への適応支援との両面からの取り組みが必要だと考え、その方法を検討しました。変えるべき学校の仕組みとして、「みんなで同じことを同じペースで学ぶ」を前提にした制度と「校則」を挙げ、より柔軟で少数者の声を反映した仕組みへの変化を提言しました。適応支援では、すでに学校、NPO、地域の国際交流協会などでいくつかの効果的な取り組みが実施されていることを紹介し、それを行政がしっかりと把握し拡大していく道筋を作っていくことが重要であると指摘しました。
森山雄太さんは、自身もプレーするサッカー選手としての立場から、欧州サッカーにおける人種差別的行為が試合の公正さを損ない、プレーのレベルを低下させ、その結果サッカーの面白さを失わせてしまうことを憂い、差別の現状と対策について検討しました。調査の結果、近年は選手同士よりもサポーターによる人種差別的行為が多いことがわかり、それへの対策として、リーグやクラブによる啓蒙活動、「three-step procedure」による没収試合の徹底、ドイツの刑法にあるような人種差別的行為に対する刑事罰の設置と悪質サポーターへの適用を提言しました。
それぞれのテーマと向き合って卒業論文を完成させた4年生の皆さんの頑張りに拍手を送ります。卒業論文に対してひるむ気持ちをもつ高校生もいるかもしれません。大丈夫です。大学での学びによる成長、そして教員による「ねばりづよーい」指導の結果です。あなたも書き上げることができます。