グローバル教育の曖昧性と定義
小関 一也
この小論の目的は、多義的で曖昧なグローバル教育を主要な研究動向をもとに定義づけることにある。 「グローバル教育とは何か?」、このシンプルな問いにどれだけ多くの研究者が頭を痛めてきただろうか。 その難解さを十分に承知した上で、大きな見取り図を描きだせればと考える。 グローバル教育の代表的な論者の考えをできるだけ取り入れながら、グローバル教育に共通する特質を示し、大きな視野から、その定義づけを試みたい。
註
1. ハンベイは、その著名な小論文「到達可能な地球的視野」で地球的視野を 「パースペクティブ意識」「地球の状態の認識」「異文化への認識」「グローバルダイナミクスの知識」「人間の選択の認識」の5つの次元に分けている。 中でも「パースペクティブ意識」は、グローバル教育の中心的な課題としてほぼすべての教育論の中で取り上げられ、実践家の意識の中にも根づいている (Merryfiled,1997;Pike,1997)。
2. グローバル教育の体系的なカリキュラム論を展開する際に、必ず基軸にすえられてきたのがニープのグローバル教育内容論であると言っても過言ではない。 ニープはグローバル教育を「普遍的で多元的な人間の価値と文化」 「グローバルなシステム」「地球規模の問題」「グローバルな歴史」の4つに分類し、さらに詳しい内容論を展開している。
3.
北米の教師が利用する代表的なインターネットのサイトをいくつか紹介しておきたい。
※海外サイト
4. 例えば、ラミイはグローバル教育の中に異なるイデオロギーが混在していることを指摘している。 (Lamy,1990)。 またパイクは、現在グローバル教育と総称されるものの中に、「細分化型」と「ホリスティック型」の相反する2つのパラダイムがあることを指摘している(Pike,1997)。