平和的交渉術
目的 | 競争、対立(紛争)、協力のダイナミックな関係を考える |
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対象 | 中学生~ |
時間 | 25分 |
準備 | 大きな長方形をつくるためにつなぎあわせた4枚の模造紙(つなぎ目にそって、黒のマジックペンで線を引いておく)と4色のマジックペン。 |
生徒は、ほぼ同じ人数になるように、4つのグループに分かれます。
まず、グループごとに、あまり時間をかけずに、外務大臣と道路建設作業員(この人がマジックペンを持つ)を1名ずつ選びます。 それから、それぞれのグループが1つの国であり、領土を持っている(模造紙1枚のスペースがこれにあたる)と説明します。 この作業の目的は、自分の国から他の国の領土を通る道路をできるだけたくさんつくることです。
ただし、道路をつくるには以下の4つのルールを守らなければなりません。
- 道路を建設をする前に、道路が通ることになる国から許可をもらわなければならない。
- 自国の領土外で、他国の道路を横切る場合には、その国から許可をもらわなければならない。
- 4つの国の領土が接する中心点を通って道路を建設することはできない([ 図8-2 ]を参照)。
- 道路を2股に分けて建設することはできない([ 図8-2 ]を参照)。
【図8-2】
許可を得るための交渉はすべて外務大臣が行います。 道路は道路建設作業員が、マジックペンで描いてつくっていきます。 その他のメンバーは、各国の国民であり、国民の役割と思われることをする、ということ以外は言わないようにします。
教師は目的とルールを2回説明した後は、どんな質問にも答えないようにし、各グループのなりゆきを邪魔しないように見守ります (ルールの解釈を含めて、すべてを生徒が交渉して決めるようにします)。
大抵の場合、生徒はかなり熱中して作業するので、感情が必要以上に高ぶってしまうことがあるかもしれません。
クラス全体でまとめの話し合いをする前に、グループごとに、自由な話し合いの時間をとるとよいでしょう。 全体での話し合いでは、まずグループを1つ選んで、その国で何が起こったのか話を聞きます。
それから、他のグループが、それぞれの立場から意見を加えていきます。 それぞれの説明は、グループごとに、もしかするとグループ内でも、かなり違ってくるかもしれません。
そのような場合には、歴史上の出来事の正確さについて、話し合いを発展させることもできるでしょう。 もし、このアクティビティのように、1つひとつの出来事に対して、たくさんの異なる意見が出てくるのだとしたら、 歴史書が事実を正確に記述できる可能性は、どれくらいあるといえるでしょうか? このとき、「正確さ」とは何を意味するのでしょうか?
以下に、話し合いの鍵となりそうな項目をあげておきます。
【競争、葛藤、協力】
なぜこのアクティビティにこんなに熱中したのか、また、なぜこの課題にこれほどまでに競争心を燃やして取り組むことになったのか (大抵そのように展開していくので)、生徒に尋ねてみます。
- もっと協力して課題を達成する方法があったでしょうか?
- 競争心を燃やしている状態では、どのように感情的な反応が起こったでしょうか?
- どのような行動が不信感を生み出し、対立を起こすことになったでしょうか?
- 信頼が壊れてしまったとき、それを修復するのはどれぐらい難しいでしょうか?
- 紛争が起こってしまったとき、高ぶった気持を落ち着かせるのはどれぐらい大変だったでしょうか?
【役割と関係】
- 4人の外務大臣と4人の道路建設業の人たちは、自分たちの役割や、国民(グループの他のメンバー)と自分たちの関係をどのように認識していたでしょうか?
- また国民たちは、自分たちと外務大臣や道路建設業者との関係をどのように見ていたでしょうか??
- この2人の「国の代表」の仕事に人々は満足したでしょうか。外務大臣は国民の意見を代表して仕事をしていたでしょうか?
- 外務大臣と道路建設業者との間に緊張はなかったでしょうか?
- アクティビティの間、女性と男性で行動が異なるようなことがありましたか?
- アクティビティを通して現れてきた役割や関係や緊張は、どの程度現実の政治の世界を反映していたでしょうか?